有 料 彼 氏



彼とわかれ、帰ろう、そう思って外靴を履き、歩き出す。


それにしてもひとがいないな。雨が降り出しそうな天気。部活は中止にして、みんな帰ったのだろうか。


──今度は、あたしが腕を引かれる番だった。


振り返って目を合わせると、彼女はわかりやすく肩を跳ねさせた。


瑠々子だ。手首を掴まれていて、無視はもうできない。


「ゆずちゃん、わたし……」

「何、言いたいことでもあるの?」

「うん、許されることじゃないって、わかっているけど、でも、これ以上は」


これ以上はばらすな?


先を予想して、笑いそうになる。


手を振りはらい、彼女の言葉を待つ。


瑠々子はひどく混乱している様子で、それがまたおかしかった。


……ここは何、地獄?真っ暗な気がする。