有 料 彼 氏



「え……」


瑠々子が口元を押さえた。それと同時に、


「ゆず、あんた……試してないでしょうね」


顔に青を浮かべた、朋実の声。


何それ。やばいものでもあるってわけ?


「試してない、けど……」


嘘をついた。


言ってはいけない気がして。言ったら、すべてを取り上げられる気がして。


「本、持ってきた?」

「……うん」


鞄の中で、あの本が揺れている。


「今日、3人で返しに行こう」


ねぇ、どうして、わざわざ3人で、って強調したの?


ざわめく。


「ゆずちゃん……」


泣きそうな子どもの声だった。そんな瑠々子に、朋実が舌打ちをした。