「最近、瑠々子(るるこ)が彼氏できたじゃん。それで、姉貴が昔、占い本のこと話してたのを思い出してね、うちらの未来も占うか?つってさあ」


朋実のお姉さんは、たしか……大学2年生だったか。この学校の卒業生だ。


朋実がぺらぺらと喋る横で、瑠々子が照れくさそうに縮こまっている。


「彼氏、いいひとだよね?」

「うん。ゆずちゃんは心配しすぎだって」


瑠々子は黒くてツヤツヤな、ショートの髪を揺らした。


朋実はというと、指先に金髪を巻き付けては枝毛を見つけている。


「誕生日と、生まれた年が偶数か奇数かってのと、名前のイニシャルと性別で占えるんだよ」

「ふぅん」

「で、ゆずは男運ないってさ。もしあんたが男だったら、モテモテだったのに」

「なにそれ」


笑ってから、男に贔屓してるな、と本を指さす。


「うちは、よくも悪くもなかった。一定のひとにはめちゃくちゃ刺さるけど、その他からは無関心、みたいな?」

「あたしと比べなさいよ、マシでしょ」

「ゆずは最悪」


菓子パン1個を平らげた朋実は、ずっと本とにらめっこ。