夏色の初恋を君にあげる(野いちごジュニア文庫版)





帰宅後も由良くんと話せた興奮が冷めやらず、風呂上がり、ぼーっとしながら自分の部屋で髪をタオルで拭く。



由良くんの右目の下に小さなほくろがふたつ並んでいること、近くで話してみて初めて知った。



というか、私、あの由良くんと話したんだ……。



放課後の出来事を絶えず反芻していると、突然部屋のドアが開き、妹の雅がずかずか入ってきた。



「ちょっとお姉ちゃん! お風呂あがったら声かけてって言ったじゃない」



「あ、ごめん!」



叱られ、言いつけをすっかり忘れていたことにようやく気づく。



「ぼーっとしちゃってどうしたの? 珍しい。もしかして恋煩いとか?」



「こ、恋煩いっ?」



「図星かあ」



思わずどきりとした私を見て、部屋のドアにもたれかけ、雅が意味ありげににやっと笑う。



そんな姿も絵になるくらい、ひとつ年下の雅は美人でスタイルがいい。


……姉の私は似ても似つかないと揶揄されるくらいに。