夏色の初恋を君にあげる(野いちごジュニア文庫版)



由良くんが姿を現した途端に、それに気づいた教室も一斉にざわつきだす。



「あれって二年の由良恭弥くんじゃない?」



「ああ、サッカー部のイケメン?」



「えっ、高野さんとどういう関係?」



クラスメイトの小声を耳にしながらも、私は急いで由良くんの元に駆け寄った。



「どうしたの?」



「ちょっと話したいことがあって」



「話したいこと?」



きょとんとすると、不意に由良くんの手が伸びてきて私の肩に回された。


綺麗な顔がぐっと近づく。



「ここじゃなんだし、あっち行きましょう」



「……っ」



みんなが見てる前でそんなこと……! と、顔に一気に熱が灯る。



だけど体が緊張でカチコチになってしまったせいで抗えず、そんな私の手を引き由良くんは教室を離れた。