夏色の初恋を君にあげる(野いちごジュニア文庫版)





翌日。



「では、これで今日の授業は終わりにする」



先生の一声で、二時間目の数学の授業が終わりを迎えた。



途端に、張りつめていた教室の空気の糸が切れ、一気にガヤガヤと騒がしくなる。


授業の難しさと先生の厳しさから、授業終了後の開放感は大きい。



二時間目後の休み時間は少し長いから、ゆっくりできる時間だ。


私もほっと息をついて、教科書を片付ける。すると。



「高野~、さっきのところ教えて~」



隣の席の斉藤くんが、突然私の机に向かってなだれ込むように上体と腕を伸ばしてきた。



「うん! いいよ」



自分に分かる範囲ならと快諾する。


数学は割と得意な方だ。



「ここなんだけどさ、どうしてこの式が次の瞬間にはこうなっちゃってるわけ?」



椅子をこちらにズルズルと引っ張りながら、斉藤くんが自分の教科書を見せてくる。