夏色の初恋を君にあげる(野いちごジュニア文庫版)



すると、由良くんがほのかに口角を上げ、まっすぐに私を見つめた。



「観に来てくださいよ。試合」



こんな嬉しいことを言ってもらえるなんて。


心の底から嬉しいのに、手放しで喜べない理由があった。



胸に湧く罪悪感から思わず視線を落とす。



「……ごめん。その日、学校で模試があって」



「あー、そっか」



「本当にごめんね」



「凛子さんのせいじゃないです。だからそんな顔しないでよ」



私をなだめるように、由良くんがふんわり笑う。
 


せっかく誘ってくれたのに。


悲しみと申し訳なさに押しつぶされそうになりながらも、由良くんの笑顔にならうように、私はそっと笑顔を返した。