夏色の初恋を君にあげる(野いちごジュニア文庫版)



グラウンドを抜けて、ふたりで並んで歩く。


さりげなく車道側にまわり、私の歩幅に合わせてくれる由良くん。



暗闇の中、車道を走り抜ける車の往来は激しく、ヘッドライトが由良くんの姿を浮かび上がらせていく。



制服姿の由良くんもかっこいい……と見とれそうになって、慌てて視線を外すようにうつむいたその時、なにかを思い出したような「あ」というつぶやきが耳に入った。



「そーだ。今週末、夏期大会の予選があるんです」



大会予選が今週末にあることは知っていた。こっそり見ているから。


……なんて言えるはずもなく、「そうなんだ!」とつい当たり障りのない相槌をうつ。