夏色の初恋を君にあげる(野いちごジュニア文庫版)



片膝をつき、しゃがみこんだ私を抱き寄せてくれているから、いつもよりも目線が近い。


想いが募って切ないほどに、きゅんとする。



だけどこんなシチュエーションに不慣れな私は、咄嗟にどう反応したらいいか分からないから。



「……もう、びっくりしちゃったよ。こんなふうに心配してもらえるなんて」



都合よく勘違いしそうになる心を諫めるように、ついへラッとした笑顔を取り繕う。



すると、由良くんの表情に一層真剣な色が差したのが、暗闇の中でも分かった。



「心配しますよ。女の子なんだから」



「由良、くん……」



――ねえ、どうして。


そんなこと言われたら、

「もう大丈夫。電気が復旧するまでここにいるから」

……思い上がってしまう。



私はそっと、由良くんの優しい声に縋るようにジャージの裾を掴んだ。



好きだ。

遠くから眺めていた頃の彼よりもっと、今目の前にいる由良くんのことが、好き。