夏色の初恋を君にあげる(野いちごジュニア文庫版)





「きゃー! 由良くんかっこよすぎる……!」



図書室に来てから三十分ほど経った頃。

外の方から黄色い声が聞こえてきて、ひとり本の整理をしていた私は、作業の手を止めて窓に歩み寄った。



見れば、今にも雨が降り出しそうな鈍色の空の下、部活中の由良くんを昇降口前で数人の女子が見学している。



グラウンドでは、サッカーボールのパスを受けた由良くんが、重力を感じさせない足裁きで敵陣を駆け抜けている。



彼の姿を追って、大勢の女子の視線が動く。



そして観衆が見守る中、由良くんの放ったボールが鋭い線を描いて鮮やかにゴールを揺らした。


まるで映画でも見ているみたいだ。



あまりのかっこよさに思わず惚け、いつまでもそこで見ていたくなってしまいそうになって、私は慌てて窓を離れた。