「…なんでもない、行こ。」 そう言ってまた私の手をひこうとする、その嘘つきな言葉。 「見に行こうよ、藍!」 こんなに走るのは久しぶり。 そして、必死に重いものをぶら下げて着いてくる藍は初めて─── 「待って、芽依──!」 “芽依、走ると転ぶよ?” 「…………」 ───初めてじゃ、ない。