「…あれから5年、か。」 線香に火をつけ、少し大きく燃え上がる火を消す。 「早いね。」 “神崎家之墓” 目の前のこのお墓には、蓮が眠っている。 「アネモネ…だっけ?」 「そう。蓮が綺麗だねって言ってくれた、私のいちばん好きな花。」 少し笑顔になり花を撫でると、藍がその手を掴んだ。 「………なんか、妬く。」 そっぽ向いて耳まで赤い藍は、やっぱり可愛く見えた。 その理由が嫉妬からくるものっていうのもあるけれど。