「チッ…」


舌打ちをして私の上から退いた。

片手にはナイフ、もう片方の手には……お守り?


一体なんの為のものかわからないけれど、大切にしているのか手首に巻いて絶対に落とさないようにしている。




「…そこで待ってな。」



何故かその背中が小さく見えた。

そしてナイフを持っているのに弱々しくも。











「よく来たなぁ、紅華のゴミ共。」




きっと、蓮はわかっていた。

この今藤 瞬という男の過去を。



それで蓮はきっと────









「……助けたかったんだよね。」



誰にでも手を差し伸べる貴方なら、きっとそう。

こんな私にも手を差し伸べてくれた貴方なら。