“お兄ちゃん、弟くんと彼女を守る為に───”


“弟くんは好きな女の事になると───”






「………嘘だ……」



まさか。

あの爆発で、生きているわけが無い。



…でも、生きていたら?

あの声は“死んだと思った”あの男の声だ。もう間違えも、忘れることも出来ない、あの憎くて仕方がない声。






「藍、その傷でどこに行くの?!」


鏡を見たから自分の顔の傷も、手の傷も知っている。

あの男と気づいてからは更に自己嫌悪して、また傷を重ねたから理緒たちが驚いているのも無理はない。