「あの時…っ俺が、2人を守れてたら…」


藍の後悔は、私には分からない。
兄に託された思いと、譲れないもの。

そのふたつを天秤にかけ、最後には託された思いを受け継いだ藍の悔やみ。



「…俺は、芽依に思い出してもらう価値もない。」


自分を卑下して、今でも自分を責め続けている。

そんな藍を見たらきっと蓮は悲しむだろうし、私だって今胸がこんなにも苦しい。




「藍」


名前を呼ぶと、顔を上げた藍。

その顔は幼い子供のように涙でぐちゃぐちゃになっていた。