「ごめん、ね…」


場所が違うだけで、目が覚めるとあの時と同じ光景だった。




「あの時、私、藍のことっ…」


“兄貴は死んだ。”

そう教えてくれた藍を、私は叩いた。


ヒステリックに叫ぶ私に気づいた看護師さん達が来て、私は意識を失ってそこから……記憶を失っていた。


それも蓮に関する事だけを。






「芽依、記憶…」


藍の目元に光る涙を見て、胸が痛くなる。


どうして私はこんなにも大切な人の事を忘れてたんだろう。

…どうして藍は、こんなどうしようもない私のそばにいてくれたんだろう。