「いない、ね…」 どこを探してもいないし、近くで事故や倒れている人とか見かけた人すらいなかった。 だからそういう心配はいらないんだろうけど、それはそれで別の心配が出てくる。 「芽依、それ…」 視線の先にあった、ポケットから落ちかけていた小さい袋。 「慌ててたから、持ってきちゃった…」 蓮に買ったピアス。 ……早く渡したい。今すぐに、顔を見て安心したいのに。 「あ…っ」 突然強い風が吹き、手に持っていた小さい袋が飛ばされる。 それを追いかけていくうちに私はひとつの古い倉庫まで来ていた。