クールな君と甘いキャンディ(野いちごジュニア文庫版)

「えっと、あれは違うのっ。本心じゃなくて……。あの時は、みんなに冷やかされて、恥ずかしくて、本当のことが言えなかったの。ごめんなさいっ」


 汗ばむ手を握りしめながら、必死の思いで言葉を絞り出す。


「でも、誤解されたままじゃ、嫌で……」


 有村くんの顔を見上げ、彼の目をじっと見つめる。


「ほんとは私、有村くんのことが……好きです! ずっと好きだったのっ」


 意を決して伝えた瞬間、心臓が破裂するかと思ったけれど、思いのほかスッキリしていた。


 有村くんは、ますます驚いたように目を見開いて固まる。しばらくそのまま黙り込む彼。


 その様子を見て、やっぱりダメかもしれないなんて思う。


 だけど次の瞬間、彼がボソッと一言。


「……っ、ウソだろ。夢見てるとかじゃないよな」


 そう呟いたと同時に彼の腕が伸びてきて、そのままギュッと抱きしめられた。


 ふわっとせっけんのような爽やかな彼の香りと温もりが、私を包み込む。


「俺も好きだ」


 思いがけない彼の言葉に、ドクンと飛び跳ねる心臓。


 ウソ……。そんな、まさか。有村くんも、私のことを?


 なんだか信じられなくて、私のほうが夢を見ているみたいだった。


「ずっと、好きだった。あの日、水沢が俺に傘貸してくれた時から、ずっと」


「えっ……」


 傘を貸した時って、そんなに前から?