クールな君と甘いキャンディ(野いちごジュニア文庫版)

 二人で人けのない廊下の隅っこまでやってくると、有村くんが口を開く。


「あのさ、これ。さっき机の中に入ってたんだけど……」


 そう言って彼が取り出したのは、先ほど私が彼の机に忍ばせたはずのキャンディだった。


 やっぱり、気がついてくれたんだ。


「手紙も読んだよ。それでさ、ひとつ聞きたいんだけど……これは、この花言葉の意味をそのまま受け取っていいってこと?」


 有村くんが、私の顔を覗き込むようにして聞いてくる。


 私は恥ずかしさと緊張で、今にも口から心臓が飛び出してきそうだったけれど、その言葉にコクリとうなずいた。


「う……うんっ」


 だって、もう決めたから。今度こそ正直に自分の気持ちを伝えるんだって。


 有村くんはそんな私を見て、驚いたように目を見開く。その表情はかなり戸惑っているように見える。


「え、でも……水沢、俺のこと好きじゃないんじゃなかったの?」


 そう聞かれて、やっぱりあの時の発言を聞かれていたんだなと思う。