クールな君と甘いキャンディ(野いちごジュニア文庫版)

 私はなんだか恥ずかしくてたまらなくて、そして何より彼女たちに自分の気持ちを知られたくなくて。思わず大声で否定してしまった。


「ち、違うよ……! 私はべつに、有村くんのことなんて好きじゃないからっ!」


 言ってしまった後で、ハッとする。だけど、時すでに遅しで。


 顔を上げたらなんと、すぐ目の前に有村くん本人が立っていて。呆然とした様子でこちらを見ていた。


 え、ウソ……。もしかして、今の、聞かれてた?


 有村くんと一瞬目が合う。だけど、すぐにパッとそらされて。


 彼はそのまま無言でスタスタと窓際まで歩いていくと、自分の席に座り、ポケットから取り出したイヤホンを両耳につけた。


 そんな彼を見て、胸の奥がギュッと締め付けられるように痛む。


 どうしよう、最悪だ……。有村くんに誤解されてしまったかもしれない。傷つけてしまったかもしれない。


 バカだよ、私。今のは本心じゃなかったのに。


 だけど、今さら後悔したところで、どうすることもできなくて。


 彼の横顔を見つめながら、泣きそうな気持ちになった。