クールな君と甘いキャンディ(野いちごジュニア文庫版)

 慌ててノートを手に持ち、黒板まで歩いていく私。


 すると、先生が再び確認するように言う。


「いいか、問一は中田、問二は有村、問三は水沢な。ちなみに問三は応用問題だから、ちょっと難しいぞ」


 その声にドキッとして、もう一度自分のノートを確認してみる。すると、その当てられた問三というのは一番難しい問題で、ちょうど今解こうとして解けなかった問題だった。


 ウソ……。やだ、どうしよう。問二までは解けたのに。


 よりによって、この応用問題を当てられてしまうなんて、ついてない。



 黒板の前までやってきたのはいいものの、ノートを片手におろおろしてしまう。


 どうにかして、解けないかな。いや、無理だよね、分からない。


 私、数学は苦手なんだ。これはもう正直に「わかりません」って言うしかないかな? 恥ずかしいけど……。


 そんなふうに迷っていたら、すぐ横から誰かにポンと肩を叩かれ、ノートをじっと覗き込まれた。


 ……えっ?


 見上げると、そこにいたのは有村くん。


 そうだ。確か彼も今、問題を当てられてたんだっけ。


「え、あ、あの……」


 ノートを見られて恥ずかしくなって、うろたえる私。すると彼はそこで何を思ったのか、突然私の耳元に顔を寄せると、小声でボソッと呟いた。


「俺が問三解くから、水沢は問二やって」


「……えっ!」