クールな君と甘いキャンディ(野いちごジュニア文庫版)

「……マジかよ。ありがと」


 有村くんが、私の頭にそっと手を乗せる。


「他の奴にどう思われても、水沢がそう思ってくれてるなら、俺はそれでいい」


「えっ……」


 続けて彼の口から飛び出した思いがけないセリフに、心臓が思いきり飛び跳ねた。


 なにそれ……。それは、どういう意味なんだろう。


 なんだかまるで、自分が特別だって言われているみたいに聞こえて、ドキドキがおさまらない。


 どうしよう、私。顔が熱いよ……。


 ――ガチャッ。


 するとその時、突然部屋のドアが開いて、誰かが中に入ってきた。


「お兄ちゃーん!」


 ハッとして振り向くと、そこには元気いっぱいの祐飛くんの姿が。


「うわっ、祐飛! テレビ見てたんじゃねーのかよ」


 驚いた有村くんは、サッと私から身を離す。そんな彼に勢いよく飛び付く祐飛くん。


「もうミラクルハンターのアニメ終わっちゃった。お兄ちゃん遊ぼうよ」


「いや、いいけどちょっと待て。今お客さん来てるから」


「えっ。じゃあお兄ちゃんのスマホのゲームやりたい!」


「あぁ、わかったよ」


 弟と戯れる彼を見つめながら、自分の胸に手を当てる。


 ねぇ私、やっぱり変だよ。さっきからずっと、心臓がドキドキして落ち着かなくて。


 有村くんと一緒にいる時にだけ感じるこの気持ち。なんだろうってずっと思ってたけど。


 ようやく今、気がついたかもしれない。


 やっぱり、これは・恋・なんじゃないかって。


 私、もしかして、有村くんに恋をしているのかもしれない……。