凌馬くんの言葉を頭の中で繰り返す。

けど、正直ピンとこない。



冗談?からかわれてる?



そう思ったけど、暗さになれた目で凌馬くんの表情を見ると真剣でからかっているようには感じられない。





「あの、わたしは……」

「わかってる」



そこで初めて視線をわたしから颯くんへ移す。




「俺は雪乃が欲しい」


「……ぜったいだめ。渡さない」


「奪うから」




それだけ言うと、またすぐにお店の中に戻っていった。


びっくりした……。



正直、びっくりが大きくてついていけていない。


凌馬くんの姿が見えなくなると同時にタクシーが到着し、颯くんと一緒に乗り込んだ。