たしかに一人でするには限界がある。

黒瀬くんとは舞踏会での絡みが多い。


ワルツを踊るところもある。

わたしがいちばん不安なシーンだ。




「じゃあ……」

「拓海!今日このあと大道具手伝ってくれよ。どうせヒマだろ?」

「は?」

「頼む!間に合いそうにないんだ!」

「やだよ。俺は……」

「あ、わたしはいいよ!自主練するね!赤坂くんを手伝ってあげて」

「え、いや、俺は白川を……」

「休憩終わります!」



黒瀬くんがなにか言おうとしていたけど、タイミング悪く休憩が終わってしまい話せなかった。

赤坂くんは「まじで頼む!」と言ってから自分の持ち場に戻った。


切羽詰まっている様子から、大道具も大変だということがわかる。
そういえば通し練習のときに、まだ背景が塗られていないものがあった。

サイズも大きいし細かく下書きされているから時間がかかるのかもしれない。



自分のことは自分でがんばらないと。


だけど、感情を込めてセリフを言うことや動作のぎこちなさを細かく指摘され明日への課題となった。