3  矢吹花凛

カキーンという音が響く度に亜美の胸は引

き裂かれるように痛んだ。

そんなはずない。そんなはず…

三番二年生の森から始まったニ、三年生の

攻撃はいきなりセンター前ヒット。

そして続く四番の南田が今日二本目のホームラン。
五番、南田の弟の方がこれまたホームラン

悪夢だ。
5ー4。

あっさり逆転されるとは…悪夢だ。

「爆発したな」

徳田監督の声がする。

「はい。三番バッターが火をつけました」

矢吹という女子が答えた。

「まぁ、いつ潰されてもおかしくなかったが。

むしろここまでよく頑張った方だ」
月乃は球の威力と制球力を失ってい
た。

六番、七番、八番と連続4ボール。
こんな月乃は見たことがない。