やがて春が来るまでの、僕らの話。




先生の声に視線を上げたら、クラスのみんながこっちを見ていた。


「イチャイチャすんなら休み時間にしろよー」

「…!」



先生、その言い方は語弊がある…!



注目を浴びたことで離れた手を見てみると、黒いペンでよくわからない絵が描いてあった。

なんかもう、気が抜けるほど変な絵だ。


「なにこの下手くそな絵」

「は?どう見てもお前の顔だろ」

「はぁ!?」


満足したのか、柏木くんはペンを筆箱にしまいながら言う。


「消えにくいから、そのペン」

「うそでしょ!?」

「よかったじゃん、俺ってばやっさしー」

「意味わかんない!」











休み時間、何度も何度も洗ってみるけど、柏木くんが書いた下手くそな落書きは本当に全然消えてくれない。


「もー、むかつくっ」


何度もゴシゴシして赤くなってきた手の平を見て、消すのはもう諦めることにした。

なんでこんな所に落書きするかなぁって、腹立たしさが拭えない。



「それにしても……。あはは、ほんと下手くそ」



もう一度絵を見てみると、なんだか笑えるほど下手くそで。

自分の手の平を見て一人笑っている私は、端から見たらきっと相当気持ち悪い。



「ハナエ」