やがて春が来るまでの、僕らの話。



柏木くんが見ているのは、昔、お父さんに何カ所も押しつけられたタバコの跡。

見られてしまったのは、過去の傷だ……


掴まれている手をパッと離して、隠すように左手でギュッと握った。


「おやじにつけられた?」


低いその声に、俯くしかできない。



「……柏木くんには関係ない」



ただじっと、耐えるように俯いた。



胸を痛める消えない傷は、手を見る度に思い出す。

恐怖に怯えた幼い頃の記憶と、

罪を犯したあの時の記憶を鮮明に思い出す……



「関係あんだろ」

「……」

「話を聞いた以上、関係ある」


その言葉のあと、柏木くんはもう一度私の手を掴んだ。

今度はなに?と思った矢先、彼は持っていた油性ペンで手の平になにかを書き始める。


「え、ちょっと」


スラスラと動くペンの感触がくすぐったい。


「ちょっ、くすぐった」


本気でくすぐったい!


「、、、」

「動くなって」

「無理無理無理っ、もう無───」

「そこ、うるさいぞ」