やがて春が来るまでの、僕らの話。




自分で言ったくせに、柏木くんの言葉にショックを受けるなんてバカみたい。

柏木くんは退屈そうに、視線を前へ戻してしまった。


痛む胸は無視して、メッセージの返信を打つ。


二人で帰る。

断る理由もないからオッケーしよう。

そう思ったとき、返信する前に違うメッセージが届いた。



『ひまー』



「……。」



メッセージの送り主は、すぐ隣の柏木くん。

視線を向けると、柏木くんはまた暇そうに肘をついてこっちを見ていた。

あえて無視することを選んだ私は、なにも言わずに視線を戻す。



だけど。


一秒、二秒、三秒ぐらい経った時、

こちらを向いた柏木くんの手が、なぜか私の右手に伸びてきて……


どうしてか、そのまま手を掴まれた。



「え、なに」


思いもよらない行動に、軽くパニック状態になる。

大晦日の日以来の柏木くんの感触に、ドキドキは瞬く間に増していく。


そんな私の心境を丸ごと無視するように、柏木くんは低い声で言った。


「これ、なに」

「え?」


言われて視線を辿ると、私の手の平に行き着いた。


「あ……」