やがて春が来るまでの、僕らの話。





【ハナエside】



「ねぇねぇ、なにがどうして付き合うことになったの?」


廊下側一番後ろ、その前の席に座って陽菜は私の机に頬杖をついた。


「どうしてって言われても…」


私自身、何がどうしてこうなったのか、よくわからない。


「ハナエは志月くんのことが好きだったの?」

「いや、好きっていうか…」


私が好きなのは柏木くん。

だけどそんなこと、陽菜には口が裂けても言えない。


「じゃあ志月くんがハナエのこと好きだったんだ?」

「うーん、どうなんだろう」


私たち、本当に付き合ってるのかな。

私の中ではまだ納得できてないんだけど……


「でも志月くん優しいから、絶対幸せになれるよ!」


そんな風に言いきれてしまうのは、きっと若瀬くんの人柄を知り尽くしているから。

知り尽くしている陽菜が「絶対」って言うんだから、もしかしたら本当に、若瀬くんといたらいい方向に向かうのかもしれない。


柏木くんのことを、忘れられるのかもしれない……



「……陽菜も幸せだよね?」

「ん?」

「柏木くんといて、幸せでしょ?」


探りを入れる訳じゃないけど、聞いてみた。

幸せそうにしか見えないから、聞いたところで答えなんて決まっているんだろうけど。


「私は幸せだけど、ひではどうかなぁ」

「え?」

「私、ひでに依存してるから」

「依存?」

「精神的な部分で、依存してるの」