やがて春が来るまでの、僕らの話。




ねぇ陽菜。



あいつらさ、一緒に笑ってくれたんだ。



一緒に泣いてくれたんだ。



死ぬなって、必死に叫んでくれたんだ。




南波くんが描いた、『希望の光』



陽菜は最初から知ってたんだろ?



俺もやっと気づいたよ。



なにも知らないあいつらこそが、きっと俺たちにとっての『希望の光』だったってこと。



そして陽菜が、そんな『希望の光』に出会わせてくれたってこと。









 



「ひでー、イチゴミルク買いに自販機いこー!」

「一人で行けや」

「やだ、一人は寂しいじゃん」

「自販機行くの?私もココア買うから一緒に行こうかな。若瀬くんも何か飲む?」

「じゃあ俺も行くわ」

「てことでひでバイバーイ」

「待てや俺も行く」

「はは、お前どんだけ寂しがり」

「寂しがりだから、ひでは私がいないと生きていけないんだもんねー?」

「そーですねー」

「柏木くん弱っちぃ」

「笑うな」

「でもひではねー、弱くてもみんなに愛されてるから大丈夫!」

「………」

「だから絶対、長生きするよ!」










「え、寝てんの?」

「……あ、れ?」



資料室の窓から西日が差し込んで、瞼が開け辛い。


え、なに今の、高校んときの夢…?



「やば、まじで寝てた」

「今日暖かいからねー。なんか春みたい」

「………」



春、か……




「もうすぐだよ」

「ん?」





大丈夫。



心の雪は、もうすぐ解ける。




「よし、ラーメン食いに行くか」

「おー、あいつらそれだけを楽しみにしてっからね」





大丈夫、雪解けはもう間近。



凍りつくみたいに積もっていた心の雪が解けだして、雪解け水も流れたら。



そしたらきっと、もう大丈夫。



真っ白な雪が降り続いていた俺たちの心の中に、




八年ぶりに、きっともうすぐ、






春が来る。









□■おわり■□

→あとがき