やがて春が来るまでの、僕らの話。




「陽菜がいるからってのももちろんあるけど、それだけじゃねぇよ」

「、」

「みんなの傍にいたら、俺、甘えちゃうだろうしさ。年に一回、陽菜の命日に会えるくらいが、今の俺には丁度いいんだわ」

「、…」

「あ、そんな心配そうな顔しちゃっても無駄よ?」



だって、心配だよ、そんなの……



「俺にはさ、バカがつくほどいい親友もできたし、うるさいけど愛してくれてるオカマもいる。かっこいいだろって自慢できる幼馴染の志月くんもいるし、ゆるーい空気で構ってくる南波くんもいる。一応お前とむっちもいるしな」

「いちお、」

「それにさ」

「、」

「多分これからも一生弟離れできないだろう、弟大好きな兄ちゃんもいるしね」

「、…」

「だからなんも、心配すんな」



柏木くんの顔が、ちゃんと笑っているから。

本当にもう、色んなことが吹っ切れてるんだなって、また涙が溢れてくる。



「泣くなって」

「、…ッ、…泣いて、…ない、」

「どんな嘘だよ」

「、…ッ……、、…」

「あ、でも感謝はしてよ。チューとか一回もしなかったこと」

「…は」

「他の男想ってる女とする気になんてなれないからね」



そう言って立ち上がった柏木くんは、私の隣に立って窓の外を見た。



「ハハ、なにやってんだよあいつら」



視線を辿ると、校庭で雪合戦をしている杉内くんたちがいる。


真っ白になった杉内くんと、笑い転げている南波くんたち。


ガラガラ!っと勢いよく窓を開けた柏木くんは、叫んだ。



「志月くーーん!!資料室来てーーー!!!」