やがて春が来るまでの、僕らの話。





小さな呼吸すら聞こえてきそうなくらい、教室の中が静かになった。




「好きなんでしょ?律くんのこと」


「、」




そんなこと、すぐに気づいてたのに。




「ずっと気づかないフリして、ごめん」

「、…」

「卑怯な手使ってお前のこと縛って、ごめん」

「、」

「必要だったんだ、どうしても」

「…、ッ」

「弱すぎる俺には、どうしてもお前が必要だった」




ほんとはずっと気づいてた。


いつからなんてわかんない。


どうしてなのかもわかんない。


だけどハナエはいつも、誰かの為に自分の想いを隠すから。


陽菜の為に俺への想いを隠した高一の冬。


そして俺の為に律くんへの想いを隠していたこの数ヶ月。



気づくよ、そりゃ。



だって十五歳のときからずっと、



ずっとずっと、俺はハナエだけを見てたんだから。




こんな風にさ、誰かを支えられる強さを持てた俺だから、



いい加減もう、解放してやんなきゃな。




「ごめん、俺、自分勝手だけど。つーかここまでハナエに世話になっといて、こんなこと言うのもあれなんだけど」

「、…ッ……」

「俺、お前に幸せになってほしいわけじゃねぇんだ」



そうじゃない。


ハナエのためなんかじゃないんだ。



だって俺が望むのは、一つだけ……




「俺、どうしても律くんに幸せになってもらいたいの」

「、…」




貰った愛情の分だけ、律くんに幸せになってもらいたい。



それが俺の、願いだから……