やがて春が来るまでの、僕らの話。




「懐かしい?」

「うん…」

「毎日ここに通ってたんだよなぁ、俺ら」

「………」

「俺もお前も志月くんも律くんも陽菜も。ここにいたんだよな」



今となっては誰一人としていない場所なのに……

それなのに、今でもあのときの声が聞こえてきそう。


一番大きく聞こえるのはなんだ?


まぁ、やっぱりそうだよな。





“ひでー!”





時計の針が進む音だって聞こえるはずなのに。


陽菜の声だけが、今も隣で、俺の耳にはなによりも大きく聞こえてくる。



「俺さ、自分で言うのもなんだけど、最近強くなったと思うんだ」

「うん、そうだね」

「あ、やっぱそう思う?」

「うん、強くなった」

「だろ?」



なんて、誇らしげに笑ってみるけど。

弱すぎた数ヶ月前の自分を思い出したら、すっげぇみんなに対して申し訳なくなる。


だからできるだけ、みんなに返したいんだ。



もらった分の強さだけ、


ちゃんと返したい……