やがて春が来るまでの、僕らの話。




「あー、なんか泣いたらスッキリしたな」

「俺も、すっげぇスッキリ」

「ほんと、晴れ晴れしちゃったかも」




私たちはどうして八年もの間、忘れていたんだろう。


どうしてこんなに遠回りをしたんだろう。


ずっと泣きたかったんだ。


みんなで泣きたかったんだ。


それだけで、こんなにも心が晴れたのに。




「じゃあとりあえず、それぞれの実家に帰りますか」

「よっしゃ、親友の実家に帰ろー!」

「もー、お前うるさいからやっぱ律くん家いけよ」

「こういうときの為の親友だろ!」

「なんだよその都合のいい親友」



杉内くんと南波くんは柏木くんの家に、私とみっちゃんはむっちの家へと歩き出す。


「じゃーね」って言い合うみんなに、あの頃を思い出してやっぱり少し泣きそうになった。



「あ、ハナエ」



歩き出していた柏木くんが振り向いて、ポケットに手を入れたまま小走りで駆けてくる。



「あとで学校来て」

「え?」

「教室で待ってる」