やがて春が来るまでの、僕らの話。




電話に気づかなかったことなのか、


見つけるのが遅かったことなのか、


ハナエに対する気持ちのことなのか、


謝ることはいっぱいあるけど……



だけどもし、今お前に直接謝れるなら。


俺は何よりも先に、こう言いたいな。




「陽菜、ごめん。俺まだそっちに行けねぇや」




行く気はあったんだけどなぁ。




「俺がそっち行ったら、ここにいる奴らお前以上に泣くんだもん。うるせぇの、こいつら」

「はは」



どんだけ俺のこと、好きなんだっつーのな。




「だから俺、多分百歳ぐらいまでそっちに行けないかなぁ…!」





これでいいんだよな?



陽菜。




「じゃあ私は、百一歳まで生きるわ~~!」

「百歳超えのオカマなんか見たくねぇよ!」





空が青く澄んでいて、陽菜が俺に笑ってる気がした。


空が青く輝く下で、俺も陽菜に笑えてる。



大丈夫だ。



なんかすっげぇ、笑えてる。