やがて春が来るまでの、僕らの話。




「陽菜、ごめんな」

「………」

「あのとき、なにも気づいてやれなくて、まじでごめんな」



隣で手を合わせる律くんの言葉を、俺は黙って聞いていた。



「頼りない兄ちゃんで、ごめんな」

「………」

「守ってやれなくて、ごめんな」



陽菜に謝り続ける律くんを、横目で見たら……


そのタイミングで、律くんは最後に悲しく笑って言った。




「死なせちゃって……ごめんな…」




「、」





あぁそっかって。


律くんの言葉を聞いて、俺は陽菜になにを言いたかったのかわかった気がした。



そっか、



俺も同じだ……




「……ごめん」




俺はずっと、




「…陽菜、ごめん」




ただずっと、





「ずっと、……ごめん」





陽菜にずっと、謝りたかったんだ……