やがて春が来るまでの、僕らの話。




「ねぇ取りあえず、みんなで線香あげようよ」


志月くんが、提案してすぐに準備を始めてくれる。


「あ、そっか。線香忘れてた」

「恥ずかしい奴。」

「うるせぇぞコラ!」

「イテテテテ、!」

「ちょっと、この親友たちさっきからうるさいわ~」

「あー、もう。俺明日ぜってぇ筋肉痛」

「はいはい、みんなちゃんと線香持って」


志月くんが配ってくれた線香を、みんなが順にあげていく。

手を合わせて目を瞑って、そのあとは心の中で陽菜に言う。



「………」



言うって……なにを?


俺は陽菜に、なにを言う…?


言いたいことが、やっぱりわかんねぇ。


なにかあったはずなのに、わかんねぇ。



どうすりゃいいんだって考える俺の横で、手を合わせて小さく陽菜に呟いたのは、



律くんだった……