やがて春が来るまでの、僕らの話。




「…落ち着いた?」


呼吸が楽になったころ顔を上げると、みんなの心配そうな表情が見えた。


「ごめん、もう大丈夫……ほんと、ごめんなさい」

「八年ぶりだもん、仕方ないよ」


むっちの声に、みんなが頷いてくれる。


まだ少し、頭はフラフラしてるけど。

でももう、大丈夫そう。


「無理しないでね?」

「うん、ありがとう。みんなも、ありがとう」



立ち上がり、再び雪の道を歩き出す。

杉内くんが何度も何度も滑って転ぶのは、きっとこの空気を変えようとしてくれているから。

南波くんが歌う鼻歌も、みっちゃんがスキップしてるのも、

全部全部、少しでも明るくって、


私たちが進む道を、明るく照らしてくれているんだ……



大丈夫。


道はちゃんと、照らされている。