やがて春が来るまでの、僕らの話。




「とうちゃーく、ラーメン食おー!」

「ラーメン、ラーメン!」


バスから最初に降りた杉内と南波くんは、あれだけ興奮してたのに雪に目をくれることもなく頭の中はラーメン一色。


「ラーメンの前にお墓参りね」

「おう、それはもちろんだ」

「うわー、私も久しぶりに帰ってきたー」


三番目に降りた俺に続いて、むっちとみっちゃん、カッシーと志月も降りてくる。

足元の雪がギシギシ軋んで、懐かしい音を響かせる。


俺にとっては一年ぶり。

去年の陽菜の命日ぶりの故郷だ。



「うひゃひゃ!雪イエーイ!」


はしゃぎすぎの杉内が、雪に滑って転んだのとほぼ同時。



ハナエちゃんの足が、


八年ぶりに、この町の雪を踏みしめた。




「ハナエちゃん」

「、」

「おかえり」



泣きそうな顔で笑ったハナエちゃんは、



「ただいま」




やっぱり少しだけ、泣いていた。