やがて春が来るまでの、僕らの話。




「ヒデト~、今日から私は南波くんのものよ~」

「へーよかったじゃん」

「やん!やっぱり冷たい男が好きぃ!」

「あはは、結局みっちゃんはカッシーなんだね」

「なんか俺、今オカマに振られた?」

「うひゃひゃ。南波くん、ドンマイ」




一際賑やかになるこの場所で、

最初に目が合ったのはカッシーじゃなくて……




「、」

「、…」



目が合ったのは、カッシーの少し後ろにいる、

ハナエちゃんだった……



夏の終わりの、あの花火大会ぶりで。


まじで心臓が、痛い……




「久しぶり」

「…うん」



うんって言いながら、フッと視線を逸らされたから……


なんかすごい、気まずい。



「律くん、久しぶりなのは俺もなんですが」

「、」

「大事な弟放置して、今まで何してたんだよ」

「うひゃひゃ、大事な弟って自分で言うか」

「…悪い」



放置。


違う、そんな可愛いもんじゃない。


俺は二人を見捨てたんだ。



俺は……