やがて春が来るまでの、僕らの話。




「ういーっす」

「あ、志月くんおはよー」


洒落た黒ぶちメガネをかけてる志月が、合流してすぐみっちゃんの隣で大きなあくびをしている。


「あら若瀬くん、眠いなら飛行機の中で私の肩貸してあげるわよ~。どう?」

「てかカッシーとハナエまだ来てないんだ」

「肩幅なら広いから、安定するわよ~」

「そういえば遅いね」

「どんなに揺れても落とさないわよ~」

「そろそろ来るんじゃない?」

「時間結構ギリギリだけど、」

「って、おいテメェら!全員揃ってシカトしてんじゃねぇぞゴラァ!」

「みっちゃん……俺に肩を…」

「あら~、南波くんってば素直~」

「はは、眠いだけだろ」



少し、緊張してた。

いや、ほんとはかなり緊張してる。


カッシーに会うことも、ハナエちゃんに会うことも。


あいつらを見捨てた俺は、二人の前でどんな顔をするのか。


そして二人は、俺の前でどんな顔をするのか。


それを確かめるのが、少し怖い。


いや、ほんとはかなり怖いんだ……




「お待ちどーさーん」

「、」




聞こえた声の先に視線を向けたら、


そこに、カッシーがいた……