やがて春が来るまでの、僕らの話。







<若瀬side>



「ハナエ、なんだって?」

「近くにいるからすぐ来るって」


届いたビールで先に乾杯した俺とカッシーは、すごい勢いで一杯目を飲み干した。


「ほんとにいいの?せっかくのデートに俺がいて」

「いいの。今日は三人で飲む日だし」

「それ、なんでなの?」

「別に理由はないけど」

「あ、そう」


相変わらず掴みどころのないカッシーは、ボタンを押して二杯目の生を注文した。


「でもまぁ確かに、俺ら三人で会うのってなんだかんだ初だね」

「でしょ?今日は三人ってことに意味があんだよ」

「だね」


同じ教室でいつも一緒にいた俺たちは、あの頃はあんなにガキだったのに。

今はもう、こうして一緒に酒を飲めるまで大人に成長したんだなって。

その成長に心が伴っているかはわからないけど、それでもやっぱり、あの頃よりも少しは大人になれてる気がした。


ほんの少しだけ、かもしんねぇけど。



「あれ、若瀬くん?」


店のスタッフに連れられてきたハナエが、俺を見て一瞬驚いた顔を見せる。