やがて春が来るまでの、僕らの話。


<ハナエside>



数日後、面接の帰り道。

夜、柏木くんとご飯に行く予定だけど、約束の時間までまだ一時間もある。

暇を持て余してフラフラ歩く街中で、ふと杉内くんの言葉を思い出した。



───“昨日矢野さんから電話きて、ハナエちゃんのことすごい心配してたよ”



「………」



正直、パスタBARにはもう二度と行きたくない。

だけど心配をかけてしまっていることは、ちゃんと謝りたいなって。

矢野さんにはすごくお世話になったのに、挨拶ができていないままだったから。

丁度出勤時間だし、もしかしたらお店の前を通るかもしれない。

他の従業員の人に会うのは気まずいから、影に隠れてこっそり矢野さんを待つことにした。