やがて春が来るまでの、僕らの話。




「ごめん、大事にするって言ったのに」

「、…」

「なんも大事にできなかったな」



えぐられるように痛い胸ん中が、必死に痛みに耐えるのは、

この瞬間だって、ハナエちゃんへの想いが膨らんでいくから……


自分を誤魔化すみたいに笑う俺だって、本当は泣きたいのに。


本当は、カッシーのことだって、


ハナエちゃんの気持ちだって、


自分以外の人間なんて全部無視して、自分のことだけ優先して、


自分の幸せだけを願いたいって、


本当は、心の隅でそんなことを考えてる、最低な俺だから……



その身勝手な想いが爆発する、その前に。


もう、終わらせなきゃいけない。



「…この前も言ったけどさ、もう、なんか疲れたんだよね」

「、…ッ…」

「俺には俺の生活があって、やっぱりそれが1番大事だから」

「、…ッ、…」

「…だからごめん」



ハナエちゃんが泣きながら震えてるって、わかるのに。


俺にはもう、その体を抱きしめることも、触れることすらできない……



「…なんか、まじで疲れちゃった」

「、ッ、…」




悲しい息遣いが聞こえるたびに、手を伸ばしたくなる。


震える肩を想像するたびに、抱きしめたくなる。


好きだって、抑えきれなくなりそうで……


握り込んでないと、両手が勝手に動き出しそうで……


全部の感情を抑えるように、食いしばるように必死に耐えた。



……昨日の夜に交わした、カッシーとの約束を守る為に。