やがて春が来るまでの、僕らの話。


【倉田side】



杉内たちと話し終わってリビングに戻ったら、想像以上に重い空気が俺たちを迎えた。


”同じ教室にいたあいつらを、あいつらだけにしたらダメだ”


高校生のときのまま止まったみたいな空気が、やっぱりそれを物語っていた……



「話し…終わった?」

「うん」


いつもはしっかりしてる志月ですら、動揺を隠せていない声だ。

顔色だって悪い気がするのは、気のせいじゃないよな……


「じゃあ俺ら仕事行くけど、カッシーのことよろしくね」

「うん、任せて」

「また夜来るわ」


南波くんと杉内にカッシーを任せて、俺たちはマンションを出た。

朝の日差しが眩しくて、重い心にズキズキと突き刺さってくる。


「みっちゃんと志月くんは、方向的に私の車だね」


むっちの車に乗り込むみっちゃんと志月を見送ったあと、ハナエちゃんの手を引いて俺の車に誘導した。

助手席のドアを開けて、彼女に乗るよう促す。


「律くん…」

「ん?」


だけどハナエちゃんは車には乗らず、その場で俺を見上げた。


え、もしかして乗りたくない?って、心臓がチクリと痛み出したとき。

ハナエちゃんはまた、小さな声を出した。