やがて春が来るまでの、僕らの話。




「律くんは大丈夫なの?」


空気に飲まれて顔を伏せてしまった俺とは違う。

南波くんが、真っ直ぐ律くんを見た。


「え?」

「皆のこと、全部背負い込んでるように見えるけど」

「そうね、あの子達の荷物重そうだもの。1人で抱えたら倉田くんが潰れちゃうわ」


深く息を吐いた律くんは、抱えきれないくらい重くてしんどいものを背負っているはずなのに。


なのに、その表情は、


すごく、


すごく、


優しかった……



「…大事なんだ、あいつらのこと」

「……」

「自分のことなんてどうでもいいくらい、あいつらを守りたい」

「倉田くん……」

「どうしようもないくらい、弱い弟たちだからさ」

「、…」



泣くように笑う律くんに、なにか、

なにかを、律くんになにかを言ってあげなきゃいけない気がして。


だってあいつらを守る律くんが、もし潰れそうになったとき。

律くんを守ってやれるのは、俺らしかいないから。


「律くん」


難しい言葉なんて、なにも知らない俺だけど。

誰かを助ける力も、守る力すらも持ってないような俺だけど……


「律くんが、自分のことどうでもいいって言ったって」


それでも、俺だって守りたいよ……


「俺はどうでもよくない」

「……」

「律くんのこと、どうでもよくなんてない!」

「、…」


俺だって、律くんのことを守りたいんだよ。


「あいつらがすっげぇ笑うようになったって、変わりに律くんが潰れてたらそんなの意味ない。それ、なんの解決にもなってないから!」



ねぇ律くん、自分への希望を捨てたらダメだよ。


あいつらが笑う未来を望むなら、

その中に、笑ってる律くんもいなきゃダメだよ。