やがて春が来るまでの、僕らの話。




「帰る前に杉内たち、ちょっといい?」


律くんが呼んだのは、杉内と南波くんとみっちゃんの3人。


「え、なに?」

「ちょっと、来て」

「うん?」


律くんは、3人を連れて隣の部屋に入って行った。

そのせいでリビングに残されたのは、俺とむっちとハナエと、眠っているカッシーだけ。



「………」


なんだこれ……って、脳が一瞬おかしくなったみたいにクラクラした。

だって、まるであの頃に戻ったみたいなこのメンツ……

思い出すのは、当然だろ。


「……同じ教室にいたよね、私たち」


むっちが小さく呟いた。


確かに俺たちは、同じ教室で、同じ授業を受けて、同じ時間を過ごしたクラスメイトだった。

同じ空間にいたからこその思い出が、一気に蘇ってくるみたいで……


黒板の真上にある時計の音とか、

休み時間はどんな風にザワザワしてたとか、

ケバかったムカデ女たちが、どんだけうるさかったとか、

先生に当てられて、なんも話を聞いてなかったカッシーが隣の席のハナエのノートを覗いて怒られたことも、

イスを後ろに傾けて、クラクラしながら座るのが俺のクセだったことも、

陽菜は英語のあの先生が大嫌いだったとか、

ハナエは授業中いつも暇そうに窓の外見てたな、とか

むっちだけはいつも、影で俺らの心配してくれてたな、とか。


同じ教室にいたからこその思い出が……

走馬灯みたいに、蘇ってくる……