やがて春が来るまでの、僕らの話。




それから俺たちは、そのままカッシーの家で夜明けを迎えた。


月曜日。当たり前に仕事という日常が俺たちには待っていて、重くてダルい腰を上げなくちゃいけない。

適当な雑魚寝で寝不足な体は、重さだって倍増だ。


「俺、休みっつーか無職だからカッシーについてるね」

「俺もカッシー起きるまでいようかな」


杉内と南波くんの提案に、律くんは心底ホッとした顔を見せた。


「そうしてもらえると助かる」


俺も律くんも仕事を休むわけにはいかないから、代わりにカッシーの傍にいてくれる人がいてくれて、ほんとよかった。


「ハナエちゃんはどうする?」


時計に目を向けて時間を確認した律くんの目が、隣にいるハナエに向かう。


「俺と帰る?」

「……」


”俺と”


帰る人間は他にもいるのに。

2人の関係が変わったと思わせるような言動に、心臓が微かに重く動いた。


「…律くん、仕事終わったら…またここに来る?」


眉を下げて不安そうに律くんを見るハナエは、まるで小さな子供みたい。

なにかを恐れている、子供みたい……


「うん、7時ぐらいには来れると思う」

「じゃあ私も、律くんが来るときにまた一緒に来る…」

「了解」


結局カッシーと一言も話していないハナエは、俯くように顔を伏せた。


「じゃあ送ってく」

「ありがとう…」


律くんの横で、ハナエはずっと俯いたまま。

つーかこいつ、カッシーのこと避けてるみたいに全然見ようとしねぇな……