やがて春が来るまでの、僕らの話。


【若瀬side】




「あ、倉田くん、ハナエ、おかえり~」


薬が抜け切ってなかったカッシーが、再び眠りに落ちた部屋の中。

みっちゃんの声に振り向いたら、外から戻ってきた二人がいた。


「大丈夫?」

「うん、ごめんね…」


大丈夫?って聞いた俺に小さく謝るハナエの体は、律くんのとても近くにあった。

律くんの傍じゃなきゃ不安だって言ってるみたいに、そこから絶対に距離を広げようとはしない。


ほんとはずっと気づいてた。

この部屋に来たときから、ずっと。

ハナエが全然、何時間も……カッシーが目覚めるまでずっと、律くんの傍を離れないでいたことを。


離れるのを怖がっているような彼女の目に、


きっと俺だけが、気づいてた……