やがて春が来るまでの、僕らの話。




「いつも、悲しいときとか辛いときとか、泣きそうなとき……頭に浮かぶのは、いつも律くんで…」

「……」

「律くんに、傍にいてほしくて……すごく、会いたくなって…」

「、…」


なにを、言われているのか。

ほんとに頭が全然回らなくて……

でも確実に、決めた覚悟が剥がれ落ちていくのを感じる。


「律くんといたら、いつもすごく安心できて……お店の売り上げがなくなって帰れって言われたときも、今日、柏木くんが死んじゃうかもってときも…」

「……」

「ほぼ無意識に、律くんに電話しなきゃって、思って…」


ポツリポツリと話すハナエちゃんの言葉が、あまりにも想定外すぎて……

全然、なにも言えない。


「律くんといたら、1番落ち着いて……律くんと、ずっと一緒にいられたらいいのに、って、思うのに…」

「……」

「でも、柏木くんのことが頭から離れないのに、そんなこと、」

「ハナエちゃん」

「!」


言葉を封じるみたいに、気づいたらもう抱きしめていた。

なんかもう、色んなことが耐えられなくて。


だってもう、いいよ

もう、なにも言わなくていい。

なにも考えなくていい。


これ以上難しいこと考えて、そんなに悩まなくていいよ。



だから……



だからさ。




「ずっと、俺と一緒にいよう」